【#わたしの大好き】ワンルームで踊って。
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【#わたしの大好き】ワンルームで踊って。

雑誌『ケトル』は、6月号として「みんなの大好き」特集を制作中。みんなの大好きをつくる方々と、各々が好きなものに焦点を当てた内容になります。そして現在、note公式アカウントでは、特集「みんなの大好き」にちなんで「#わたしの大好き」をテーマに1000〜1500字のコラム・エッセイを募集中。新型コロナウイルスによって、人と人だけではなく様々なものと距離を取らざるを得ない日々が続きますが、「いまは触れらないが、収束後は……」「外では難しいが、今は家の中で楽しんでいる」「あらためて自分にとって大切なものだと気づいた」など、大好きなものや、愛が深まったものへの想いを寄稿いただいてます。今回はその中から、トマ田さんの原稿を紹介させてください。


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大好きという気持ちのパワーは最強だ。
この力のすごいところは、全肯定、全受容、とにかくすべてに花まるをあげたくなる。

私は自分の暮らすワンルームが大好きなのだ。
地方の片田舎から上京するとともに始まった一人暮らしも、丸3年を数えた。
何もかもがはじめてだった。
「自分の街」を決めることも、自分のためだけに家電を揃えることも、
ガスや電気を契約することも、何もかもが私にとってはデビューだった訳である。
そんな愛しいライフイベントの中心にあるのがこのマイルームだ。
南東向きの大きな窓と、茶褐色の温かみあるフローリング、そして部屋と同じくらい広々としたベランダが不思議でかつ魅力的だった。何とも愛らしい半円のバルコニーまである。(これを引っ越し祝いに来た叔父は「出城」と呼んだ。確かその当時、大河ドラマの真田丸が終わったところだったっけ。)

引っ越したばかりの頃は、実家から持ってきたあれやこれやと、
新たに買い足したあれやこれやが、まるで人見知りを発揮したかのように、どうもソワソワと肩を並べていた。
それも月日が流れるに従って馴染みになり、旧知の友、と言えないまでも
形容しがたい調和に中に佇んでいる。(と、家主は思っている。)
初めはスペースにもゆとりがあったが、もともと雑多なモノが大好きなので、今やベルギー製・イタリア製など多国籍な絨毯、セネガルの椅子、日本の古道具や本・雑誌などなどが所狭しである。
唯一情けなくも悲しくもあったのが、このようにときめくモノで部屋が満ちていくだけでなく、社会人としての年次が重なるにつれ仕事が忙しくなり、それらが生活感の中で埋もれ、ほこりをかぶり、輝きを失っている状況だった。休みの日も最低限の掃除をするだけ、手に取りしげしげと眺めることもなくなっていた。

それが、この1か月ほどでどうか!
働き方はテレワークとなり、仕事終わりと帰宅時間が背中合わせになった。
外出はなくなり、デスク作業が早く片付くので残業時間が減る。
校正を待っていた隙間時間で、ちょっとした家事だってできてしまう。
そして何より、休みの日も大好きなこの部屋の中に公的にいられるではないか!
ラブ・マイルーム!と叫びたくなる。

以前は「せっかくの休みだから」と、外に出かけることも多かった。
やれライブだフェスだ、やれ展示会だイベントだと予定を埋め、タスクを管理するかのようだった。
確かにそれらも全部全部大好きだった。
今となっては、失ったものの大きさに愕然とする。
でも、そこにはちょっとの「見栄」みたいなものもあったのでなかろうか。
SNSで報告する、週明けに人に話すためのコンテンツを自分のために用意していのではないか。
今はみんながうちにいる。
だからこそ、ある種安心して部屋にいられるような気がする。
純度の高い“おうち時間”である。

私はこのおうち時間の中で、自分の部屋と暮らし、そして上京してからの日々まで見つめ直すことができた。
このワンルームで生活を始めようと思ったあの日を、重ねた日々と共にかき集めた大好きなモノたちに囲まれて、さらに好きは更新されるばかりだ。

自分事ながら少々胸が熱くなったので、皆さんとおうちにまつわるストーリーを聞いて回りたいな、とさえ思うのである。


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いただいた言葉の一つ一つが、また誰かの文化との出会いになれば幸いです。お好きなものについてぜひご寄稿ください。宜しくお願い申し上げます。

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