『ケトルVOL.55』は「はじめての本」特集
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ケトル

なぜ新聞や本を読まなくてはいけないのか? 社会学者が考える「たった1つ」の理由

Amazonより
『ケトル VOL.55』 さやわか、大森望、宮崎智之、橋爪大三郎、池澤夏樹、玉城ティナ、米代恭、遠野遥、野中モ…ほか

子供の頃、親や先生から一度は言われるのが「本を読みなさい」「新聞を読みなさい」というセリフ。本や新聞を読むのが好きな子もいますが、大抵の子どもはテレビ、おもちゃ、ゲームなどの方が好きで、今の子どもなら「スマホやYouTubeの方が面白い」と言うかもしれません。なぜ、本や新聞を読まないといけないのでしょうか? 「はじめての本」について特集した『ケトルVOL.55』で、社会学者の橋爪大三郎さんは、このように説明しています。

「新聞なんか読まなくたって、本なんか読まなくたって、それで生きていこうと思えば生きていけます。家族と付き合う、友達と付き合う、近所や地域社会の人と付き合う、職場で働く──新聞や本がなくても、これらのことはできてしまいますよね。じゃあ、新聞、本を読んで知らなければならないことは何か?

私にいわせれば、それはたった1つ、政府という存在です。政府は家族ではない。友達ではない。地域社会ではない。大抵の人にとっては職場でもない。どこか遠くにあるものが政府ですよね。そして、遠くにあるからといって無関係かというと、無関係でもない。なぜならば、国民は税金をとられるから、そして国民が守らなければいけない法律をつくるから」

色々な理由があるのかと思いきや、「たった1つ」とは驚きです。ただ、これだけではなかなか「じゃあ本や新聞を読もう!」という気にはならないはず。橋爪さんはこのように続けています。

「もし、あなたの目の前で強盗が人を殺してしまったとしたら、どうしますか? 中には、犯人を追いかけてやっつける、つまり復讐するという人がいると思います。でも、現代社会でこういうことをやっていいかといえばダメ。現代社会では、政府(警察)に報告しますよね。政府は不法行為、犯罪行為をした人を逮捕して、自由を奪い、裁判にかけ、刑務所に閉じ込める。つまり自由を奪う。極端な場合は、死刑にする。なぜ政府があるかというと、人々がいちいち復讐しなくても済むためなんです。

このように、政府は復讐やその他のことを国民の代わりにやります。ただ、その仕事を真面目にやらなかったり、やり方が間違っていたりという場合がある。そういうときに『私が皆さんの代わりに、政府にものを申しましょう』という人が出てくる。これが政治家です。その政治家が3人いたとしたら、誰が信頼できるか見極めなきゃいけない。そこで誰がどんな人となりか書いてあるのが、新聞であるわけです」

良い人物を見極めるためには、それなりの知識と情報が必要だということ。ただ、漫然と読むだけではいけません。

「もし新聞を読んでいて全然理解できないなんてことがあったら、それは本の読み方が足りない。だから、本を読まなければいけない。今回は政治のことを知るための本として小室直樹著『痛快!憲法学』『日本人のための憲法原論』をおすすめします。これらは政府がどのようなものかわかりやすく書いてある。新聞を読む前に読みたい本は、このように高校生レベルでもわかる本がふさわしい。皆にわかるように書いていない本なんて、大した本じゃありませんよ」

読書習慣が無い人の中には、「ためになる本=難しい本」というイメージを持っている方もいるでしょうが、決してそんなことはないということ。今年の秋は“読書の秋”にしてみてはいかが?

◆ケトルVOL.55(2020年8月17日発売)

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