クイック・ジャパン vol.90 のコンテンツ

90号紹介「3月のライオン」

2010.6.06

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羽海野チカはなぜ将棋漫画を描いたのか?

美大を舞台にした「全員片思い」の青春群像劇『ハチミツとクローバー』で、羽海野チカは漫画家デビューし一瞬でブレイクした。誰もが期待と好奇の視線を寄せた、第2作。彼女は少女漫画誌から青年誌『ヤングアニマル』へと移籍し、若くしてプロ棋士となった男子高校生を主人公に『3月のライオン』の連載を開始した。
「アナタの居場所なんて この世の何処にも無いじゃない?」(第一話より)。
『ハチクロ』終盤のダークサイドを受け継いで始まった本作は、悩める少年の心のありようを進化した漫画表現で描き、人々との触れ合いによって明るい場所へと彼が歩き出す過程を、繊細に丁寧に描き出すことに成功している。
そして、「渾身の第4巻」(コミックスのオビ文より)。将棋の世界ならではの「師弟関係」が、少年の心を、少年を追い掛ける読者の心を、大きく揺り動かした。
「なぜ将棋漫画を描いたのか?」。今こそ羽海野チカに、その問いをぶつけるタイミングだと思った―。(文・吉田大助)

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