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「アニメーション」が「アニメ」に 「鉄腕アトム」がもたらした功績

日本アニメの歴史を語る際に、欠かすわけにはいかない作品が、手塚治虫さんが手がけた『鉄腕アトム』です。1963年の元日に放送が始まり、4年間続いた日本初の本格的なテレビアニメシリーズ「アトム」は、輸入文化の「アニメーション」を日本独自の「アニメ」へと進化させました。

もともとディズニーにあこがれてアニメを作ろうとした手塚さん。しかし、いざアニメを制作することになった時は、ディズニーを目指しませんでした。まず、予算がない。ディズニーのようなアニメーション映画を作るなら、何億円もの予算が必要です。制作に参加するスタッフも100人を超えるのが当たり前。いくら手塚さんが漫画家として売れっ子だといっても、個人の力では実現不可能でした。

そこで手塚さんは、自分が理想とするアニメづくりを実現するため、1961年6月に自らアニメ制作プロダクションを立ち上げます。これが「虫プロダクション」です。インディペンデントな個人プロダクションとして始まっただけあり、当初は実験的な作家性の強いアニメ制作を目指していましたが、同時に、多くの人に自分たちの作品を観てほしいという思いもありました。

そこに舞い込んだのが、当時すでに全国に普及していたテレビでのアニメ放映でした。しかも毎週火曜日、18時15分から18時45分までの30分枠で放映する。この「毎週30分の連続放映」という形式に、手塚さんはディズニーとは違う新しいアニメづくりの可能性を見出します。これが「アトム」の大きな功績です。

というのも、「アトム」以前にテレビで放映されていたのは海外製のテレビアニメであり、そのほとんどはアメリカの『トムとジェリー』のような5分か10分の短編でした。ストーリーを語る時間がないため、ギャグや動きで面白がらせる作品ばかりだったのです。これに手塚さんは不満がありました。

しかし「毎週30分の連続放映」ならば、連載漫画のような重厚なドラマをそなえた、ストーリー重視のアニメを作ることができる、そう考えた手塚さんは、自身の漫画を原作に「アトム」をテレビアニメ化することになります。この時の決断が「テレビアニメの連続シリーズ」という世界でも類を見ない形式を生み出し、日本でさまざまなアニメが生み出されていく土壌となっていくのです。

◆ケトル VOL.35(2017年2月14日発売)

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