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双眼鏡で鳥観察 「どこかわからない問題」を解消する方法

『カラス先生のはじめてのいきもの観察』松原始(太田出版)
『カラス先生のはじめてのいきもの観察』松原始(太田出版)

まもなくやって来る夏休みはバードウォッチングに最高の季節。大自然をのびのびと飛ぶ野鳥をチェックするのに必携のアイテムが双眼鏡だが、お目当ての鳥を双眼鏡で上手に見るためにはどうすれば良いのか? 動物行動学者の松原始氏が動物観察についてつづった『カラス先生のはじめてのいきもの観察』(太田出版)で、松原氏はこのようにつづっている。

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学生に双眼鏡をホイと渡して、「ほら、あそこに鳥がいる」と言ったとしよう。すぐに「わー、ほんとだー!」などと歓声をあげるのは、半数以下である。大概は、双眼鏡の視野に目標を入れられない。これは当然と言えば当然で、8倍に拡大された視野はうんと狭くなっているのである。

しかも、手に持った双眼鏡が向いている先が、肉眼とピッタリ合っているとは限らない。そうすると、狭い視野の中には見たいものが入っておらず、かつ、一体どこを見ているのかわからない、という問題が発生する。肉眼で見ている時は「あの木の右上の枝の、ちょっと隙間があって葉っぱが固まっているあそこ」とわかっていても、拡大してみると全然違って見えるからである。

こういう場合のやり方の一つは、鳥に至る道筋を覚える、という方法だ。例えばさっきの「あの木の右上の枝の、ちょっと隙間があって葉っぱが固まっているあそこ」なら、まず、「あの木」の幹を視野に入れる。その幹を辿たどっていって、「右上の枝」が幹から出ているところまで動かす。さらにその枝を辿って行けば、鳥が止まっているはずである。鳥の専門家でも、背景が紛らわしくてうまく視野に入らない時は、この手を使う。

だが、動きの速い鳥に対してこんなことをしていると、鳥にたどり着く前に移動されてしまう。特に森の中で頭上の枝にカラ類が来ている時なんかが最悪だ。重なり合った枝に対して「ここからこう伸びて、こっちに枝分かれして」なんてやってられないし、カラ類は口々に「ツピー」「ツツピー」などと鳴きながら、どんどん移動してしまうからである。こういう場合は、やはり、狙った一点を一発で視野に入れる練習が必要になる。

私がやったのは、「あの電柱のてっぺん」「向こうの家のあの窓」などと目標を決めておき、「せーの」で双眼鏡をサッと目に当て、一発で目標を捕らえる、という練習だった。言ってみれば、双眼鏡を使った抜き撃ちである。

これをやる時は、目標に目を向けたら視線も頭も動かさず、双眼鏡だけを自分の目の前に持って来るのがコツだ。顔の方から双眼鏡を迎えに行ってはいけない。目標を視野の真ん中に捉えたまま、そこにピタリと双眼鏡が入りこめば、視野の真ん中にちゃんと目標がいる、はずである。

実際には手に持った双眼鏡の角度が微妙にずれるので、構えてからさらに修正しないといけないが、何度もやっていれば体の方がコツを覚えてくれる。これを極めると、飛行中の鳥を見つけて双眼鏡を持ち上げながらピタリと視野に入れる……なんてこともできるようになる(相手の動きを予測して、視線と双眼鏡を止めずに動かし続ける、という練習がいるが)。

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夏休みで遠出をする前に練習しておけば、きっと“本番”で上手に鳥を追えるはず。ただしマンションのベランダなどから双眼鏡であちこち眺めていると、思わぬトラブルも生じかねないので、その点は注意したほうが良さそうだ。

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