INTERVIEW FILE 014 松永天馬
Sep 1, 2015

INTERVIEW FILE 014 松永天馬 (アーバンギャルド)

PASSPO☆のさこてぃこと槙田紗子さんによるインタビュー連載「マキタジャーナル」。取材や文章を書くことに興味のある彼女が、様々なジャンルの一線で活躍する方々にインタビューし、インタビュー力を鍛える企画です。今回のマキタジャーナルは、唯一無二の世界観で熱狂的ファンを持つテクノロックバンド「アーバンギャルド」のリーダー、松永天馬さん!お互い“コミュニケーション弱者”を自認する者同士のこじらせトーク、ハラハラしつつもスタートです。

編集= 原利彦、北野篤 撮影= 小島マサヒロ 文= 槙田紗子
INTERVIEW FILE 014 松永天馬 写真1
INTERVIEW FILE 014 松永天馬 写真2
INTERVIEW FILE 014 松永天馬 写真3
INTERVIEW FILE 014 松永天馬 写真4

槙田  「『少女』だったり『生と死』というのをテーマにしようと思ったきっかけはあったんですか?」

松永 「なんかねぇ、周りにそういう女の子が多かったから。」

槙田  「えっ!」

松永 「学生の頃から劇団をやったり展覧会をしたり自分で映画を作ったり、色々やってたんですよ。どちらかというと音楽は最終的にたどり着いたもので……元々は歌詞ではなく、小説と詩を書いていたので。」

槙田  「最初から音楽をやっていこうという感じではなかったんですね。」

松永 「そうなんです。これは偏見かもしれないんですけどクリエイティブな方面にいる女の子はメンヘラチックな子が多いんですよ(笑)。」

槙田  「(笑)。それは、、、そうだと思います(笑)。」

松永 「アイドルの子も多いじゃないですか。」

槙田  「はい。」

松永 「自己表現と承認欲求というものがすごく繋がっているからだと思うんですよね。自分を世に出したい=自分の価値を認めてもらいたいという風になりがちで、日本社会は女の子をもてはやす傾向があるから、なおさらそういう考え方になっちゃいがちなんじゃないかなと。僕も男ですけどもちろんそういう気持ちは少しあって、でも周りにいる女の子のほうが危なっかしい人たちが多くて、結果的に彼女たちのことを題材に書くようになったのかなぁ。」

槙田  「ツイッターとかにもろに病んでる書き込みをする人って私含めていますけど、そうやって文章にしてる人は一部分で、似たようなことを考えている人は絶対もっといるはずなんですよね。アーバンギャルドさんの世界観って、他にそういった人の闇の部分を表現するバンドさんが少ないから過激だって言われるけど、実は誰もが抱えていることを表現しているんじゃないのかなって思います。」

松永 「そうなんです!実は西野カナさんと近いことをやっているんです!!」

槙田  「そうですよね!!(笑)」

松永 「みんなが持っている闇の部分を照らすっていうのは芸術家の一つの仕事なんじゃないかなと思いますね。」

槙田  「確かにそうですねぇ。浜崎容子さんとの出会いは何がきっかけだったんですか?」

松永 「浜崎容子さんとはですね、mixiでお声がけをさせて頂きました!」

槙田  「えええ!」

松永 「2007年のことです。ゼロ年代感あるでしょ。mixiって今もう廃墟だからね。」

槙田  「廃墟(笑)。」

松永 「彼女は当時関西に住んでいたので、夜行バスに乗って会いに行って、お話をさせてもらいました。」

槙田  「見た目の雰囲気とかでドンピシャだったんですか?」

松永 「そうですね、この人ならこの世界観を表現してくれるなって思いました。」

槙田  「すごい!運命的!」

松永 「運命……まぁmixiなんですけどね!!(笑)」

槙田  「アハハ(笑)。アーバンギャルドさんってステージセットもミュージックビデオもグッツとかもすごく可愛いくて、世界観の統一感がすごいと思うんですけど、デザイン系も天馬さんがやられてるんですか?」

松永 「そうですね。昔はMVの監督とかもやってました。アーバンギャルドは世界観に一貫性がなければいけないバンドだと思っているので。音楽って本当に間口が広くて、アートワークの側面もあるしパフォーマンスとしての側面もあるし映像の側面もあるし、色んなものがミックスされた媒体だから、学生の頃映画を撮ったり小説を書いたり色々してた僕にとってはとても馴染みがよかったんです。他の人に任せたこともあったんですけど、少しチグハグなものになってしまったりするんですよね。そこのトータリティーはやっぱり大事かなって思ってます。今ってパソコンとかあるからある程度のことは自分で出来るんですよね。ただ規模が大きくなると自分だけの力じゃどうにもならない部分が出てくるので、そこは信頼できる人を見つけなければいけないのですよ!コミュ力が低いのに!」

槙田  「天馬さんコミュ力低く見えないですよ!」

松永 「いやいやいや!本当に友達が少ないんですよ!僕のLINEの履歴は仕事のことしかないです。バンドマンはコミュ力高い人あまりいないかも。でもアイドルの人はコミュ力が必要とされるじゃないですか。」

槙田  「そうですね。」

松永 「でも実際には病んじゃう子も多いというのは矛盾だなって思いますけどね。それに反してオタクの方々はどんどんコミュ力を上げているっていう(笑)。」

槙田  「病めるアイドル(笑)。」

松永 「傷つかないで!!」

槙田  「アイドルとの対バンもたくさんされてますけど、なにか発見とかはありましたか?」

松永 「アイドルの皆さんはオタクの方と一緒に現場を作っていこうという気持ちが強いのでそれは見習っていきたいところだなぁと思うし、あとは演奏や進行をぴっちり決めて完成させた状態で持っていくのもありなんだけど、ある程度未完成の状態でもっていって現場のライブ感で変えていく面白さはアイドルのライブでよく見かけますね。お客さんや会場の雰囲気によってパフォーマンスそのものが変わってくるということを良い意味でとらえて、セッションのような感じでどうすれば面白くなるのか考えるっていうことを学ばせてもらいました。」

槙田  「へぇ〜。」

松永 「アイドルのみなさんはキラキラしているので出来れば同じ楽屋にいたくないですし、写真を撮ったりしますけど喋るのも苦痛ですね(笑)。もちろん魅力的なんですよ。でもそういうキラキラしたものに自分が触れちゃ行けない気がするんですよ。自分なんて!って。ありません?そういうの。」