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『文系男子的“電子煙草道”ノススメ』 #4 混ぜるべきか、混ぜないべきか、それが問題

『文系男子的“電子煙草道”ノススメ』 #4 混ぜるべきか、混ぜないべきか、それが問題

ケトル編集部

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 日々、同じモノをクチにしておりますと、たまには目先を変えたくなるものです。

 たとえば、お酒。ふと思い立って「いつもとは違うジュースで割ってみようかな」「今日は水じゃなくて、炭酸水で割ってみようかな」「お燗を熱めにしてみようかな」「普段はレモンを絞るけど、今日はスダチを絞ってみようかな」なんて具合に変化を付けてみる。すると「おっ、たまにはこういうのもイイね!」「すごい! 意外に合うよ!!」なんて味わいに巡り会ったりして、ちょっとワクワクするわけですね。

 これは「ラーメンにいつもとは違うトッピングを試してみよう」「コーヒーの粉を自分でブレンドしてみよう」と、他の嗜好品に置き換えてみても然り。自分なりに“何か”と“何か”を組み合わせて、変化の妙を楽しむというのも、趣味道の醍醐味のひとつなのかな、なんて思う次第です。

 そんな調子で、今回考えてみたいのが、リキッドのブレンドについて。皆さんは、リキッドを混ぜてみたこと、ありますか?

 これには、さまざまな意見なり流儀があるでしょう。「リキッド単体での味わいを大事にしたいから、絶対に混ぜない」「いやいや、上手く混ぜるとさらにおいしくなるよ」「自分はどんなリキッドにも、メンソール系のリキッドを加えて楽しんでいるけどね」などなど、各人各様の楽しみ方やこだわりがあると思われます。別に、どれが正解という話じゃありません。好きなように楽しめばよいのです。その前提を踏まえつつ、話を進めます。
 僕の場合は現在、「混ぜることもあるけど、原則的には混ぜない」というスタンスです。とはいえ、いろいろ紆余曲折はありました。一時期は、3~4つくらいのリキッドを混ぜて、「自分なりの黄金比」を見つけるのに躍起になっていたこともあります。

 市場には多種多様なリキッドが流通していますが、すべてをつぶさにテイスティングしてみるなんてことは、当然ながら不可能です。さらに、VAPEを始めたばかりのころは、どの程度の投資が自分のペースに合っているのか──要はどのくらいお金をかけてみるべきなのかが判然としないので、まずは手持ちのアイテムで何とかしてみようという発想になりがち。そんな感じで、とりあえず手元にあったリキッドを混ぜて、味の変化を検証してみることにしました。で、やってみたらこれが面白くなってしまい、あれこれチャレンジしたのであります。

 というわけで、ここで僕が辿り着いたブレンドの法則を紹介しましょう。

●高いリキッドは、基本的に混ぜないほうがいい。
 ケースバイケースですが、高価なリキッドは総じて、高いなりに味わいの奥行きや風味の個性が確立しています。単体でも十分おいしい。わざわざ何かを混ぜる必然性は、ないことのほうが多いです。

●安価なリキッドは、混ぜることで味に深みが出てきたりする。
 安価なリキッドには安価なリキッドなりの魅力があります。誤解を恐れずにいうなら、駄菓子感覚というか、飾らない感じの使いやすさ。それを逆手に取るわけです。失敗しても、惜しげがないですからね。それに子どものころ、経験がありませんか? そう、「コーラとオレンジジュースを混ぜたら意外においしかった」みたいな方向性で攻めるわけです。

 ただし、ハズしたときはとんでもなく微妙な味になります。感覚的には、ファミレスのドリンクバーでジュースを混ぜるイタズラに興じる小学生みたいな気分ですよ。メロンソーダとキャロットジュースとコーヒーとミルクを混ぜてしまい、筆舌に尽くしがたい味の謎ドリンクが完成。正直、マズイ。でも、親から「飲み物で遊ぶアナタが悪い。自分で責任持って飲みなさい!」などと怒られ、半泣きで飲むことになる……みたいな敗北感を覚えます。

●いきなり半々で混ぜず、少しずつ比率を変えていく。
 まあ、これは料理の味付けなどでも鉄則なので、説明するまでもありませんが、いきなり同じ割合で混ぜてしまうよりは、ベースとなる味に、他の味を少しずつ足してみるほうが失敗は少ないですし、リカバリーも効きます。残念な味になって、溜息とともにリキッドをシンクに流し捨てる回数は、格段に減るでしょう。

●まずはメンソール系からチャレンジ。
 メンソール系の香りが苦手なら仕方ありませんが、そうでなければ、ブレンド初心者はまずメンソール系のリキッドを少し足してみることから始めるとスムーズでしょう。とりわけ、フルーツ系とメンソールは、わりとどんな組み合わせでも無難にイケてしまいます。なので、すっきりとしたフルーツ系のリキッドに、5対1から4対1くらいの割合でメンソールのリキッドを混ぜてみるあたりからスタートすると、失望感に苛まれることもないはずです。
 なお、メンソール系のリキッドの中には、タバコ系統のスパイシーな香りが付いているものもあります。それらはベースになるリキッドの香りを損ねることが多いので、シンプルにメンソールの香りだけがするリキッドを選ぶほうがベターです。

●主張の強いリキッドは、ブレンドには不向き
 メンソール系のリキッドはわりと万能ですが、合わないものもあります。個性的な味わい、濃厚で主張の強い味わいのリキッドは、圧倒的に単体で味わうほうがよいです。これらは傾向として高価でもあるので、前述した「高いリキッドは、基本的に混ぜないほうがいい」にも通じてくるわけですね。

 味の系統としては、コーヒー系、キャラメルやミルク、バニラなどのスイーツ系、バター系あたりの、味も香りも濃くてキャラクターが際立っているリキッドです。これらはメンソール系だけでなく、どんなリキッドと合わせても、見事に足を引っ張り合い、味を台無しにしてくれるケースが多いので要注意。ただ、そうした高価な個性派リキッドどうしは、まれに奇跡のコラボレーションを果たして、とてつもなく美味なリキッドに変貌を遂げることもあるんですよねぇ……。まあ、慣れてきたらチャレンジしてみるのもアリでしょう。

 以上、ザックリと私見をまとめてみました。VAPE上級者になると、自分でグリセリンや香料などを混ぜて、オリジナルのリキッドづくりに挑戦してみる方もいらっしゃいます。でも、やはりハードルは高い取り組みです。そこで、もしオリジナルの味に興味があるなら、ひとまず既存のリキッドを自分なりにブレンドしてみるところから手を付けてみることをオススメしたいところ。

 機会があれば、各自がブレンドしたリキッドを持ち寄って、利き酒ならぬ、「利きリキッド」みたいな集まりを開いてみるのも楽しいかもしれませんね。

【プロフィール】
漆原直行(うるしばら・なおゆき)
1972年、東京都生まれ。編集者・記者・ビジネス書ウォッチャー。ベリー系、スイーツ系のリキッドを好むVAPE愛好者。  

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