現在のページ(パンくずリスト)
トップ > ノンフィクション・人文 > 書籍情報詳細

ノンフィクション・人文

『日本の「射精責任」論』 著:中真生、伊藤公雄、塚原久美、多賀太、宮地尚子、新ヶ江章友、森岡正博、江原由美子、沼崎一郎、竹家一美、菅野摂子、赤川学

価格

3,630円
(本体3,300円+税)

判型

四六判

ページ数

336ページ

ISBNコード

9784778340988

搬入年月日
[?]

2025.12.2
※各書店・ネット書店により、購入可能となる日は異なります。

電子版発売

2025.12.4-

デジタル版はこちら!

  • 日本の「射精責任」論 キンドル版を購入

書籍の説明

私たちはもう、「射精責任」という言葉がない世界には戻れない――。

「望まない妊娠」は男性の「無責任な射精」が原因であると喝破したことで、刊行直後から大きな話題となったガブリエル・ブレア『射精責任』(村井理子訳、齋藤圭介解説)。そこからさかのぼること約30年前、日本ではすでに、男性の射精とその責任をめぐる議論が行われていた。

蓄積された知見を蘇らせるだけでなく、第一線で活躍する13名の研究者が現代における課題をそれぞれの専門領域から議論した。男性と射精をめぐる議論の現在地と、進むべき道を明らかにした論文集。

2025年12月4日(木)発売

■所収論文一覧

齋藤圭介 ガブリエル・ブレア『射精責任』と日本の射精責任論

沼崎一郎 〈孕ませる性〉の自己責任――中絶・避妊から問う男の性倫理
宮地尚子 孕ませる性と孕む性――避妊責任の実体化の可能性を探る
森岡正博 膣内射精性暴力論の射程――男性学から見たセクシュアリティと倫理

伊藤公雄 男性の「ケアの力」という課題――射精責任論とマスキュリニティ
赤川学 『射精責任』と精子の行方
森岡正博 男性の射精責任をどう考えるか
多賀太 生殖に関する責任の共有に向けた男性支援へ

江原由美子 「射精責任」と「女性の自己決定権」
菅野摂子 性的同意と射精責任
塚原久美 女性のリプロと男性の射精責任

竹家一美 孕ませられない責任――男性不妊の文脈で「射精責任」を考える
新ヶ江章友 異性間による射精責任を相対化する――同性間による人工授精とHIVの文脈から
中真生 生殖する身体から避妊や妊娠の責任を考える

齋藤圭介 男性の射精とその責任をめぐって

【関連書籍】
『射精責任』ガブリエル・ブレア著

【電子書籍について】
弊社・太田出版から発売される電子書籍のリリース情報&フェア情報は、電子書籍専門サイトHongram[ホングラム]でチェックできます。

目次

はじめに――赤子を遺棄した女性は加害者なのか

第1章 ガブリエル・ブレア『射精責任』と日本の射精責任論 齋藤圭介

●第1部 日本の射精責任論

第2章 〈孕ませる性〉の自己責任――中絶・避妊から問う男の性倫理 沼崎一郎
第3章 孕ませる性と孕む性――避妊責任の実体化の可能性を探る 宮地尚子
第4章 膣内射精性暴力論の射程――男性学から見たセクシュアリティと倫理 森岡正博

●第2部 男性学・男性性研究からの問題提起――「射精」×「男性」

第5章 男性の「ケアの力」という課題――射精責任論とマスキュリニティ 伊藤公雄
第6章 『射精責任』と精子の行方 赤川学
第7章 男性の射精責任をどう考えるか 森岡正博
第8章 生殖に関する責任の共有に向けた男性支援へ 多賀太

●第3部 フェミニズムからの問題提起――「射精」×「フェミニズム」

第9章 「射精責任」と「女性の自己決定権」 江原由美子
第10章 性的同意と射精責任 菅野摂子
第11章 女性のリプロと男性の射精責任 塚原久美

●第4部 異性愛、自然性交、生殖をめぐる規範の外側からの問題提起

第12章 孕ませられない責任――男性不妊の文脈で「射精責任」を考える 竹家一美
第13章 異性間による射精責任を相対化する――同性間による人工授精とHIVの文脈から 新ヶ江章友
第14章 生殖する身体から避妊や妊娠の責任を考える 中真生

第15章 男性の射精とその責任をめぐって 齋藤圭介

あとがき

≫メディア掲載情報の登録

著者プロフィール

執筆者一覧(執筆順)

齋藤圭介(さいとうけいすけ)
1981年生まれ。東京大学大学院 人文社会系研究科 修了・博士(社会学)。岡山大学 学術研究院 社会文化科学学域 准教授。ジェンダー研究、社会学。主著に『男性の生殖経験とは何か』(晃洋書房、近刊)、『射精責任』(解説、太田出版、2023年)。

沼崎一郎(ぬまざきいちろう)
1958年生まれ。ミシガン州立大学大学院 人類学科 博士課程 修了・Ph.D.(人類学)。東北大学 名誉教授。文化人類学、男性性研究、東アジア研究。主著に『多軸的な自己を生きる』(監修、終章、東北大学出版会、2024年)、『「支配しない男」になる』(ぷねうま舎、2019年)、『台湾社会の形成と変容』(東北大学出版会、2014年)。

宮地尚子(みやじなおこ)
1961年生まれ。京都府立医科大学 医学研究科 修了・博士(医学)。一橋大学大学院 社会学研究科 特任教授。文化精神医学、医療人類学。主著に『環状島=トラウマの地政学』(みすず書房、2007/2018年)『傷を愛せるか 増補新版』(ちくま文庫、2022年)、『トラウマにふれる――心的外傷の身体論的転回』(金剛出版、2020年)。

森岡正博(もりおかまさひろ)
1958年生まれ。東京大学大学院 人文科学系研究科 単位取得(倫理学)。博士(人間科学、大阪府立大学)。早稲田大学 人間科学学術院 教授。哲学、ジェンダー学。主著に『無痛文明論』(トランスビュー、2003年)、『感じない男』(ちくま文庫、2005年)、『生まれてこないほうが良かったのか?』(筑摩選書、2020年)。

伊藤公雄(いとうきみお)
1951年生まれ。京都大学大学院 文学研究科博士課程 学修退学。京都大学・大阪大学 名誉教授。文化社会、政治社会学、ジェンダー論。主著に『〈男らしさ〉のゆくえ 増補版』(新曜社、2025年)、『ジェンダーの社会学』(放送大学教育振興会、2008年)、『男性危機?国際社会の男性政策に学ぶ』(共著、晃洋書房、2022年)。

赤川学(あかがわまなぶ)
1967年生まれ。東京大学大学院 人文社会系研究科 修了・博士(社会学)。東京大学大学院 人文社会系研究科 教授。セクシュアリティ研究、社会問題の社会学、猫社会学。主著に『セクシュアリティの歴史社会学』(勁草書房、1999年)『これが答えだ!少子化問題』(筑摩書房、2017年)、『猫社会学、はじめます』(編著、筑摩書房、2024年)。

多賀太(たがふとし)
1968年生まれ。九州大学大学院 教育学研究科 博士後期課程単位取得退学・博士(教育学)。関西大学文学部 教授。教育社会学、ジェンダー学。主著に『男子問題の時代?』(学文社、2016年)、『ジェンダーで読み解く男性の働き方・暮らし方』(時事通信出版局、2022年)。

江原由美子(えはらゆみこ)
1952年生まれ。東京大学大学院 社会学研究科 社会学Aコース 博士課程中退、博士(社会学)。東京都立大学 名誉教授。ジェンダー研究、社会学。主著に『持続するフェミニズムのために』(有斐閣、2022年)、『ジェンダー秩序』(勁草書房、2001年、新装版2021年)、『女性解放という思想』(勁草書房、1985年、増補 ちくま学芸文庫、2021年)。

菅野摂子(すがのせつこ)
1963年生まれ。立教大学大学院 社会学研究科 博士後期課程単位取得退学・博士(社会学)。東京科学大学社会連携・DE&I本部 特任教授。社会学、ジェンダー研究、医療社会学。主著・主論文に「『女性の健康』の隘路とフェムテック」『現代思想』5月号2023年、「スクリーニング検査と受検者の視覚――二つのスクリーニング検査をめぐる当事者の語りから」『保健医療社会学論集』32(1)2021年、『妊娠――あなたの妊娠と出生前検査の経験をおしえてください』洛北出版(柘植あづみ、石黒眞里との共著)2009年。

塚原久美(つかはらくみ)
1961年生まれ。金沢大学大学院 社会環境科学研究科 修了・博士(学術)。一般社団法人RHRリテラシー研究所代表理事。リプロダクティブ・ライツと中絶に関するフェミニスト研究。主著に『産む自由/産まない自由――「リプロの権利」をひもとく』(集英社、2025年)、『日本の中絶』(筑摩書房、2022年)、『中絶技術とリプロダクティヴ・ライツ――フェミニスト倫理の視点から』(勁草書房、2014年)。

竹家一美(たけやかずみ)
1961年生まれ。お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科 修了・博士(社会科学)。日本女子大学ほか 非常勤講師。ジェンダー/セクシュアリティ研究、社会学。主著・主論文に『日本の男性不妊』(晃洋書房、2021年)、「身体経験としての『男性不妊』」(『科学技術社会論研究』15号、2018年)。

新ヶ江章友(しんがえあきとも)
1975年生まれ。筑波大学大学院 人文社会科学研究科 修了・博士(学術)。大阪公立大学 人権問題研究センター 教授。クィア・スタディーズ、文化人類学。主著に『クィア・アクティビズムーはじめて学ぶ〈クィア・スタディーズ〉のために』(花伝社、2022年)、『日本の「ゲイ」とエイズ――コミュニティ・国家・アイデンティティ』(青弓社、2013年)。

中真生(なかまお)
1972年生まれ。東京大学大学院 人文社会系研究科 単位取得満期退学・博士(文学)。神戸大学人文学研究科 教授。哲学、倫理学。主著に『生殖する人間の哲学――「母性」と血縁を問いなおす』(勁草書房、2021年、サントリー学芸賞(思想・歴史部門)受賞)、『フェミニスト現象学』(分担執筆、ナカニシヤ出版、2023年)、『あらわれを哲学する』(分担執筆、晃洋書房、2023年)。

〈カテゴリー〉

〈関連作品〉

〈関連ページ〉