『図解でわかる 14歳からの地政学』より
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太平洋のキーストーン「台湾」 来年予定される総統選挙はなぜ重要か?

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『図解でわかる 14歳からの地政学』 インフォビジュアル研究所

日本から近い台湾は、親日家が多いことで知られ、海外旅行先の人気ランキングでも常に上位に入りますが、政治的には非常に難しいポジションにいます。中国は「台湾は自国の領土である」という主張を崩していませんが、オリンピックなどの国際大会では、台湾は「チャイニーズ・タイペイ」として独立チームで出場。独自の国家であるというスタンスです。

そんな台湾で来年、総統選挙が予定されていますが、なぜ世界中がその結果に注目しているのでしょうか? 『図解でわかる 14歳からの地政学』(太田出版/インフォビジュアル研究所 鍛冶俊樹・監修)では、こう解説しています。

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台湾は南シナ海、東シナ海、太平洋の接点に位置する島です。この海域の安定の要が台湾であると最初に気づいたのは明治時代の日本でした。日本は日清戦争に勝利し、1895年の下関条約で、清国(中国)から台湾を割譲。多大な投資をして台湾を近代化し、日本の南方進出の基地としました。

この台湾島の地政学的重要性は現在も変わらず、アメリカの太平洋支配の要であると同時に、新たに海洋進出を目論む中国にとっても要衝です。中国政府は、一貫して台湾は中国の一部であり、香港のように一国二制度に組み入れられるものだと主張しています。中国政府が台湾を自国領だとする根拠はどこにあるのでしょう?

第二次世界大戦で中国に侵攻した日本は敗北。台湾は蒋介石率いる中国国民党の支配下に置かれます。1951年、日本はサンフランシスコ平和条約で台湾の主権を放棄しますが、その主権の帰属先を明記する条文はなく、しかも中国は戦後、内戦で2つに分裂していました。台湾はすでに、大陸から逃れてきた国民党が統治。一方、中国本土には共産党が統治する中華人民共和国が誕生していました。その双方が、自らが中国を代表する正当な政権であるとして台湾の主権を主張。台湾をめぐるこの対立構造が、現在まで続いているのです。

大陸と台湾の対立は、台湾に暮らす人々の間にも及んでいます。国民党と共に渡ってきた外省人と呼ばれる人々と、台湾土着の本省人と呼ばれる人々との間に存在する政治、経済、文化の溝です。

近年の台湾では、大陸から渡り、長く軍事独裁を続けた国民党と、本省人を代表する民進党の2大政党が政権交代を繰り返しています。国民党支持層は大陸と融和的で、民進党支持層は台湾人の自主性を求め、独立志向が強い傾向があります。2020年に予定されている総統選挙で、台湾の人々が、自国の未来に向けてどのような選択をするのか、世界が注目しています。

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台湾の人々の選択次第では、台湾と中国が実質的に1つになり、太平洋に大きな拠点を得るというようなシナリオも考えられます。ついつい「ヨソの場所の選挙の話なんて」と思ってしまいがちですが、複雑に絡み合う世界情勢を考えると、日本(人)にとってもまったく無関係の話しではないのです。

『図解でわかる 14歳からの地政学』(太田出版/インフォビジュアル研究所 鍛冶俊樹・監修)は、2019年8月23日発売。1500円+税。国際情勢の今を、わかりやすい地図とビジュアルで俯瞰して学べる1冊となっている。

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