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太田出版ニュース

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2022年も「太田エロティック・マンガ賞」に多数のご応募をいただき、誠にありがとうございました。今回はエロティクス賞1作、優秀賞1作、奨励賞4作、あわせて6作品が入賞となりました。山本直樹による講評も添えて、ここに発表いたします!

【2022年】太田エロティック・マンガ賞
審査員:山本直樹、太田出版編集部、pixiv編集員
賞金:エロティクス賞 10万円(1名)、優秀賞 5万円(1名)、奨励賞 3万円(若干名)
次回の募集については「太田エロティック・マンガ賞」募集ページでご案内します。

エロティクス賞

賞品:pixivコミックに掲載、賞金10万円

〆鯖缶
「黒板」
  • レビュアー
    山本直樹 講評

    少し長めですが、きちんと最後まで読ませる魅力がありました。それぞれのキャラクターが、ストーリーの歯車としてではなく、人として動いているように描けているのが良かった。人物が書割みたいになってないのが一番大事なので。「家庭訪問に行ったらいきなりセックスしてる」って展開は、つい馬鹿っぽいエロマンガになりがちなんですけど、それで終わらないのがすごいと思いました。最後も好きです。ただ、ところどころ絵を急いで描いているように見えるところがあって、それが良い場合もあるけど雑な印象になるときもあるので、そこはゆっくり丁寧に描くとなお良いと思います。あと、字がちょっと多いかな? 僕も人のこと言えないけど。

優秀賞

賞品:賞金5万円

華山ユキテル
「赤い青色の夢を見る」
  • レビュアー
    山本直樹 講評

    一貫したストーリーでは無いというか、無くてもいいんですけど、ちゃんと“レズビアンという世界”が存在していて、その“知らない世界”を読む者に見せてくれてますね。話は長くて行ったり来たりしてるけど、絵も上手いし、人の気持ちもちゃんと描けてると思います。

奨励賞

賞品:賞金3万円

たつじ
「パーフェクトタワー」
  • レビュアー
    山本直樹 講評

    全体的に「上手い」と思わせる技量があります。絵もこの「白さ」でちょうどいい。途中までの話の進め方も良かったのですが、終わり方が分かりづらいのが勿体ない。描いてて途中で飽きちゃったのかな? この方が描く「エロ」も見てみたいですね。



suzuki
「残夏」
  • レビュアー
    山本直樹 講評

    語り手がろくでもない性格、語り手が正しいとは限らない、信頼できない、という設定は、新人賞の応募作品ではなかなか見ることができない難しい設定ですが、いろんな創作を見て学んだんだと思うけど、ちゃんとストーリーに反映して描けているのが良かったです。まあ、「エロ」ではないけれど、キャラクターの感情の機微や、女の子が魅力的に描けていて、こういう作品があってもいいのではないかと思いました。



一緒くた
「夢のまた夢」
  • レビュアー
    山本直樹 講評

    「夢」という難しい設定を、きちんと読めるように描けていてすごいと思いました。ただ、少し長くて間延びしているようにも見えました。キャラクターの気持ちを丹念に描いている分、長くなってしまっているのかな。構成の仕方でもう少しコンパクトにできると思います。絵が魅力的なので、この方が描く「エロ」をもっと見てみたいです。



石鹸
「宝石」
  • レビュアー
    山本直樹 講評

    重くない、日常的な「エロ」を、ちゃんと面白く描けています。突然お父さんが出てくるという月並みじゃない展開がいいですよね。終わり方も好きです。絵はもう少し丁寧に描き込んでほしいところだけど、これからってことで。



総評

  • レビュアー
    山本直樹 講評

    今回、作品数がたくさんあってひとつひとつ見ていくのが大変でしたけど、量がある分、質も高いと感じました。新人賞の応募作品に完璧を求めてもしょうがないですし、無駄に長いなあと感じるような作品でも、pixivという箱の中は無限だからこっちも読みます。でも、つまんなかったらつまんないって言います(笑)

    「そんなに急いで描かなくてもいいんじゃないの?」と感じる作品が多かったかな。読む側に「雑だな」って思われたらおしまいなんですよね。もちろん、急いで描いてもそれが「味」になる人もいます。でも、そういう人はそもそも上手い人だから、基礎の部分ができていない人はやっちゃいけない。

    あと、これは毎回言ってますが、ストーリーがすべてではないけれど、あった方が断然いいです。スケッチばかりの作品は、見る側は「ああ、スケッチ楽しいんだな」で終わってしまうので。賞が欲しい、評価してほしいと思う人は、スケッチで終わらせずに、こっちを「おっ!」って思わせるようなものを見せてください。ストーリーだけでも、絵だけでもいいんですけど、両方揃ってると一番いいです。とはいえ、今回も「おっ!」と思わせていただきました。これからも思わせてください。



最終選考通過作品

今回は惜しくも入賞とならなかった最終選考作品への講評も多数発表!

上田たんぽぽ「お花畑」
お話がちゃんと「エロ」だし、でも「エロ」だけじゃないのが良かったです。絵は可愛いけど、弱い。惜しい。もっと描いていって、より上手くなってほしいです。漫画は描けば描くほど上手くなるし、そういう風に上手くなっていい人だと思いました。

まつうらだゐき「ポリアムる」
「エロ」というよりは「エロ論」というような漫画でした。絵がかわいくて読みやすいし、話としてはありがちな話なんですけど、ワンアイデアで細かい仕草とかディテールをきちんと描けているのが良かったです。

沼田ナマズ「まんじゅう」
とにかく絵がいい。話は割と普通なんですが、こういう時代のお話をこういう絵で描けるのはなかなかないので魅力的だと思いました。

em「椿髪」
「エロ」ではないですね。絵に黒をちゃんと使えていて、女の子も魅力的です。死んだ人が見えるってよくある設定ですけど、この漫画はそれでいいって気がしましたね。

片桐やすめ「敵と性欲と孤独」
「ざっくり描いているけど実は上手い」というのを感じ取れる絵ですね。ストーリーがばかばかしくてとても好きです。女の子もかわいく描けていて、キャラクターとして動いていて良いですね。コメディタッチでもいいから、ちゃんとした「エロ」を描いたのを見てみたいです。

青柳七生「作家の顛末」
ストーリーがきちんと練られていて魅力的でした。プロになる気があるのなら、十分なれる人ですね。これからも描き続けてほしいです。

谷口敬「エヴァとラウラ」
大先輩ですし、影響も受けてますけど、賞はいらないってことなのであげません(笑)。今66歳。Twitter見ると愚痴ばっか言ってて、愚痴ばっか言いながら描き続けているという。尊敬してます。

ふたば「吸って、吐いて」
「ゲロ」をテーマにこんなに描くってばかばかしくていいですね。最高。僕的にはその後のエロい展開も描いてほしいなって思いました。

夢寐如乃「咲うカメリア」
絵がステキです。プロではないのかな? もう少し魅力的な女の人のお話を、長いお話で見てみたいです。

natsue yutaro「血と花」
絵がかわいらしくて、表情も上手いです。すごく好きな絵柄です。もっと長いお話が見たいと思いました。

nagrim「Adventure has begun」 / Nicole「朝落ちた花を夕方拾う」
遠い国からのご応募をありがとうございました。いろんなところから作品が来るのはいいですね。また応募してください。