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太田出版ニュース

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2025年も「太田エロティック・マンガ賞」に多数のご応募をいただき、誠にありがとうございました。今回はエロティクス賞1作、優秀賞1作、奨励賞3作、あわせて5作品が入賞となりました。山本直樹による講評も添えて、ここに発表いたします!

【2025年】太田エロティック・マンガ賞
審査員:山本直樹、太田出版編集部、pixiv編集員
賞金:エロティクス賞 10万円(1名)、優秀賞 3万円(1名)、奨励賞 5000円(若干名)
次回の募集については「太田エロティック・マンガ賞」募集ページでご案内します。

エロティクス賞

賞品:pixivコミックに掲載、賞金10万円

百塚
「ずっと遊んでいよう」
  • レビュアー
    山本直樹 講評

    内容的に問題作ではあるのですが、漫画作品として面白いし、強い。いたずらが原因で起こった事故にまつわる感情の揺らぎは、あらゆる作品で描かれているテーマではありますが、この作品は、人がちゃんと生きて動いている感じがする。安易な結論にも至らず、でも漫画として完結している。魅力的な作品です。

※この作品には、一部不適切な描写が含まれております。本マンガ賞において作中の当該行為を助長する意図は全くありませんが、そういった表現に対して不快感や不安を感じる方は、ご自身で判断のうえ、お読みください。

優秀賞

賞品:賞金3万円

勝見ふうたろー
「腰のうわぬり」
  • レビュアー
    山本直樹 講評

    ちゃんとしたエロマンガってこういうことかなと思う。人が生きて動いていて、気持ちが見える。絵は多少、急いで描いているところも所々ありますが。ざっくり言うと、エロマンガってこれでいいんじゃないの。僕もこんな感じで描いています。だから、「このままどんどん行ってちょうだい」と思います。ディルドネタばっかり描かれても困るけど(笑)。でも描いてもいいです。飽きたら違うことをやればいいので。

奨励賞

賞品:賞金5000円

ふたば
「宅飲みの三章」
  • レビュアー
    山本直樹 講評

    雑ではないんだけれど、ヘタウマっていうのかな。絵自体は弱いんだけれど、キャラクターがちゃんと強い。こんな絵なのに、ドキドキするみたいなところもある。エスカレートするためだけのエスカレートじゃなくて、最後まで繋がるぶっ飛び具合が、本当はうまい人なんじゃないかなって思わせます。「ここでゲロをするんだ」っていう、この人なりの必然性が感じられる。それでハッピーエンドになるってすごいなと思って。絵は多少上手くなってもいいのではないでしょうか。上手くなれとは言いませんが、「上手くなっても楽しいですよ」というのは言いたいです。ゆっくり描いても、丁寧に描いても楽しいよ。



生もやし
「ラブ・ゲーム」
  • レビュアー
    山本直樹 講評

    この人の線はすごく気持ちがいい。絵がうまい。内容はちょっと取っ付きづらくて、「何の話?」みたいなところが最初はあるんだけれど、2回読めばわかる。絵の上手さも含めて、これからどんどんすごいことになる人なのかもしれません。エロシーンはないけど、別にそれはいいです。面白いから。



ろくろお
「選ばれる頃を過ぎても」
  • レビュアー
    山本直樹 講評

    絵がかわいくて魅力的で、お話もいい。エロではないけれど、裸は出てきますね。女の子2人の気持ちがちゃんとこちらに伝わってきて、すごくいいです。少し字が多いけど、これは技術的な問題です。何回もネームを読み直すと、「ここ要らないな。一言でいいな」という箇所が結構出てくるので、やってみてはいかがでしょうか。でも、この絵柄と内容は好きです。



総評

  • レビュアー
    山本直樹 講評

    今回は、中途半端に終わってしまう作品が多かったです。もうちょっと頑張ってお話を描いて欲しかった。「うまいな、いいなあ」ってワクワクページをめくっても、内容が無さ過ぎて、すぐに終わってしまうアバンタイトルな作品が多くて、もったいないなと思いました。「なんでエロくなる前に終わっちゃうの?」って。省略したり、ある場面を切り取るだけではなくて、その先がどうなるのかまで見たかった。物足りなさが残りました。

    続きものの作品も多々ありましたが、そこまで物語の中にのめり込めるものはなかった。気持ちにシンクロできれば物語に入っていけるけれど、気持ちだけで長尺を読ませるのはきつい。セリフだけで進めるのではなくて、生きたキャラクターを描いてほしいです。

    あとは、線が細い絵が多かった。話のネタは悪くなくても、絵が弱すぎると読者には伝わりません。コマ割りも大事です。同じような大きさの人物の顔が続くと、読み流してしまう。読んでいる人にとってわかりやすくなるような構図、構成みたいな技術的な工夫がもっとあるはずです。



最終選考通過作品

惜しくも入賞とならなかった最終選考作品への講評も多数発表!

佐海暝一「ちんちん姫1」
作品としては面白くて、クオリティが高いです。ただ、入り込みづらい部分はあった。日常ではありえない状況にとことん入り込んでいって、どんどん物語が巡ってという話は昔からあるけれど、噛み切れないものがあった。それを作者は目指していたのかもしれませんが。エンディングも印象深いんだけれど、どこか騙されたみたいな気持ちもあります。それも、この人の思うツボなのかもしれません。良かったら、別の作品も描いて見せていただきたい。

ナシウヒカ「いわれのない恋」
絵がかわいい。切ない感じが伝わってきます。この絵柄で、かわいい女の子が出てくる漫画をもっと見たいです。

えびど~「閉眼えっち」
絵が達者です。お話もちゃんとある。ただ、キャラクターがお話の道具になっている感じがちょっとあるかな。

肌色レインボー「僕と彼女と彼女のおっぱい-1」
おっぱいを書きたいという執念が素晴らしい。すごく綺麗に描けているし。漫画はやっぱり好きなことをやるのが一番ですね。好きなことをやらないと長続きしませんから。どんどん行ってください。おっぱいに飽きたらお尻でもいいですけれど、好きなものを描きましょう。