INTERVIEW 010 水島精二さん
INTERVIEW 010 Feb.09.2017

水島精二さん (アニメーション監督)

アメリカンガールズロックユニット・PASSPO☆によるインタビュー連載企画! 第10回目のゲストは、アニメーション監督の水島精二さん。これまでに携わられた作品の制作裏話を交えながら、作品への譲れないこだわり、集中力を途切らせないための仕事術など……タメになるお話をたっぷりお届けします!

編集=原カントくん、岸野愛 撮影=川村将貴

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「まず、アニメの監督さんがどういう仕事なのか教えていただけますか? 実写との違いというか……」

水島 「はい。まず、シナリオをシナリオライターに作ってもらうというのは実写と同じなんですけど、アニメの場合は、そこからどういうカットで流れを作っていくかを絵コンテで書きます。それをアニメーターに絵を描いてもらい、色をつけたものを編集する。最近はCGで作ることもありますけど、基本的にすべてのシーンをほぼ人力で描いて作っていきます。編集からはまた実写と同じですが、アニメはまず設計図となる絵コンテがないと先に進めません。そこが実写とアニメの大きな違いで、そういうすべてのプロセスを総括するのがアニメーション監督の主な仕事ですね」

PASSPO☆ 「へ?!」

増井 「作品が全部でき上がるまでにどのくらいの日数がかかるんですか?」

水島 「映画だと、だいたい実制作だけで1年ぐらいかけないと……」

PASSPO☆ 「1年!?」

水島 「長いものだと4?5年かかる場合もあります。でも、例えばキッズ向け作品のテレビアニメからの映画化だとスタッフが慣れていて作業効率がいいから、4?5か月で作る場合もあるみたいです。かなりきついスケジュールだと思いますけどね」

PASSPO☆ 「すごい!」

水島 「僕が監督した『劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』や『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』は、『だいたい作画作業に入ってから1年はください』という話をしながら進めていました」

根岸 「『鋼の錬金術師?』は、まだ原作が完結していない段階でのアニメ化でしたよね?」

水島 「そうですね。僕らが最初にテレビアニメ制作を始めた頃には、原作は3巻までしかなかった。原作者の荒川(弘)先生に結末がどうなるか、だいたいのプランニングは聞いたんですが、アニメと漫画が同じ終わり方をする必要はないとおっしゃったので、アニメはアニメの終わり方を考えて作っていきました。それがヒットして映画制作の話になったので、『?シャンバラを征く者』は完全にオリジナルで作らせてもらったんです」

安斉 「そもそも監督がアニメ監督になろうと思ったきっかけは?」

水島 「全然、監督になるつもりはなかったんですけど、一緒に作品を作っている仲間、絵描きが何人かいて。僕は絵があまりうまくなかったので、こいつらと一緒に仕事をするためにはどうしたらいいだろうかと思ったときに、演出家というポジションとその延長線上である監督を目指せば良いのかなと思ったんです。演出家はそんなに絵を描けなくても口八丁手八丁でも出来て、面白ければ評価される。だから、演出をやっているうちに、『今度、若い人間を集めてテレビシリーズを作るので、監督をやってみない?』と誘われたのがきっかけですね。それが割とうまいこといって、次の仕事も入ってきて……という感じで今に至ります。最近、『楽園追放』という作品を監督したんですけど、それも完全に映画オリジナル作品。テレビシリーズなしで映画からっていう作品もやらせてもらえるようになりました」

「すごい……」

根岸 「アニメの仕事自体は、昔からやりたいって思っていたんですか?」

水島 「そうですね。でも、高校生のときに漫研に入って、すごく馬の合う同級生に絵の上手いやつがいたので、じゃあアニメやろうかって。絶対やりたい!っていうんじゃなくて、ふわふわ流れていった結果ではある」

PASSPO☆ 「え?!!」

藤本 「それで監督になれるってすごい才能ですよね」

水島 「2001年頃に『シャーマンキング』という作品も監督したんですが、運よくその辺りから割とメジャー感のあるものを任せてもらえるようになったので、そのおかげは大きいですね。でも、やっぱり作品を作っている仲間がすごく優秀なやつが多かったので、彼らと一緒にだんだん大きい舞台に移っていったというふうな感じ。それがよかったです」

安斉 「ずっと同じメンバーでやられているってことですか?」

水島 「入れ替わりはしますけど、同世代みんなで力を合わせて作っていったっていう感じはあります。今はみんな、偉くなっちゃったんで、ばらばらに自分のやりたいことをやっているんですけど」

増井 「かっこいいな?!」

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